実家の犬が16歳で亡くなったので犬の思い出を記録する

先日、俺が小学生の頃に家に来た犬が16歳で死んだ。老衰だった。

初めて飼い犬が死んだので、初めての感情だけどかなり悲しい。

でも本当に死ぬのは忘れ去られたときだ、という事で、せっかくブログをやっているわけだし思ったことを書いておこうと思う。

ニ年間、商品レビューばっかりしてきたけど、たまにはこういう記事も個人ブログらしくていいのではないか。

目次

心温まる怪談は、都合良くは起こらない

犬が死んだ時間、俺はのんきに寝ていた。起きたら訃報から5時間後だった。

こういうのって夢に出てきてさよならしてくれるとかそういうのじゃないのか。

どれだけ写真に喋りかけても、飼い犬のお化けはおろか夢にすら出てこない。

悲しい。

転勤を理由に会いに帰らないと、絶対後悔することを初めて知った

夢にすら出てこない、などと言いながらも、俺は就職してからと言うもの年に数回しか実家に帰っていない。まぁそんなもんなのかもしれないけど。

ここ三年ほどは、帰るたびに大人しくなって、吠えることもあまりなく、足腰も弱くなっていった。

そろそろ・・・とは分かっていたものの、気が付かない振りをしていた節もある。

犬は信じてくれないかもしれないが、俺は7月の長期休暇で犬に会うために帰るつもりだったんだ。

母親には帰る日にちまで伝えていた。犬にも伝えておけば、もうちょっと待ってくれたのかもしれない。

後悔しても遅い。犬は死ぬし、バンドもいつのまにか解散する。

会える時に会わないとダメだって、家族を失くした人間なら誰でも知ってそうな事を20代後半にして初めて学んだ。

俺の両親は自分の親を既に片方ずつ亡くしてるんだから、教えてくれれば良かったのに。と思った。

うちの犬の思い出を思い出せるかぎり書き記す

俺の人生はどんどん忙しいし、記憶力が弱いから書かないと忘れてしまうかもしれない。

女子大生とBBQ

山でリードを外して走らせていたら失踪した日があった。

そんなに大きな山ではなかったけど、どうやら山を越えてキャンプ場に迷い込んでいたらしい。

保護されて連行されてきた際に聞いた話だと、女子大生がBBQしてるところにすり寄って行ってお肉をもらっていたらしい。

あの犬、そもそもはぐれたと思ってなかった節がある。女子大生とBBQはシンプルに羨ましい。

超賢い犬だった

これ完全に親ばか要素は入ってるけど、とても賢い犬だった。

入っちゃダメと言われたところは柵が無くても入らない。家族誰もいないときはこっそり入るし、勝手に両親の布団で寝てるようだったけど。それもまた賢い。勝手に寝てるのはぬくもりでバレる事が分からないあたりは馬鹿。

月に一回、体重を測るときは、体重計を出したら横向きになって立つ。抱えられる準備をできる賢い犬。

中型犬だったので両手じゃないと抱えられない重量。10kgくらいあったと思う。

死んで火葬されたら、とても小さな壺になってしまった。

サイレント咀嚼

犬だからとても食欲が旺盛だった。

ドッグフードを皿に盛ったあと、牛乳をかける為に待たせていた。

おとなしく待ってるなと思っていたら、音も立てずにそっとドッグフードを食べていた。

あんな硬いフードを音が鳴らないように食べてた。

犬って絶対ガツガツ食べるもんだと思ってたら、食べるために食べ方を変えられる生き物なのかと思った記憶がある。

リードを付けなくても振り返ってくれる犬

散歩のとき、グイグイ引っ張られるとお互いしんどいと思ってよくリードを取っていた。

けっこう先まで歩いていくんだけど、一定の距離を離れると絶対に振り返って待ってくれる犬だった。

いつもの散歩コースにある急な階段に差し掛かると、途端に引っ張るのをやめて一歩一歩振り返りながら歩いてくれる優しい犬だった。

噛んでしまった時に反省する犬

優しい犬で思い出したけど、うちの犬は遊んでる時につい噛んでしまったり、歯が当たった時にはっとしてペロペロ舐めてくれていた。

優しい。

人が好きな犬

番犬にならないとは言ったけど、本当に人に唸ったことも一度も無いし、ご飯と散歩の要求以外では人に向かって吠えた事もなかった。

どんな人にでもすり寄って行く犬だった。

世の中には犬に好かれない人間というのがいるみたいだけど、それに類する俺の友達が来たときも変わらずフレンドリーだった。

うちに来た誰もが犬の事を好きだと言ってた。

犬も人が好きだったんだと思う。

妹の代わりに怒られる

妹と犬は呼び方の母音が一緒だった。

それで母親もよく妹に怒る時に、間違えて犬を怒っていた。

今思えば理不尽極まりない家だったと思う。

でもそれを分かってるようで、特に大げさな反応はしていなかった。

家族ゲンカの仲裁

俺と妹はお互い思春期の頃はかなり仲が悪くて喧嘩が絶えなかった。

うちの犬が人に向かって吠える瞬間がもう一つだけあって、それが家族の喧嘩に割り込むときだった。

犬は夫婦喧嘩も兄妹喧嘩も仲裁していた。

犬がいてよかった。

嫌なこと悲しいことがあった時はそばにいてくれるタイプの犬

なんで分かるのかわからないけど、振られたり学校で嫌なことあったりした時はずっと部屋にいてくれる犬だった。

よく机の足元で寝そべってたのを思い出す。

犬が死んで今とても悲しいけど死んでるからいてくれない。

焼いたパンが多分一番好きだった

なんでか分からないけど焼いたパンを見てる目がそう語っていた。一番すきそうだったし本当に美味しそうに食べていた。

若い頃は耳もかなりよかったので、2階でトースターの音がなった瞬間に階段をダッシュで駆け登って来るような犬だった。

次に書くけど、ファミチキだけで三途の川を渡るのはお腹が空くかもしれないので火葬前にたっぷりバターを塗ったフランスパンを供えてやった。

犬の最後の晩餐

死ぬ3日ほど前からご飯を食べなくなったらしい。

そうやって死んでいくのか、と思っていたけど一つだけ思ってたのと違った事があった。

死ぬ前日にファミチキを一口だけ食べたらしい。

父親は犬の散歩中にファミチキをよく買って、二人(一人+一匹?)で食べてたらしい。

最期に好きなものを食べられてよかったなと思う。

ご飯も食べない水も飲まないまま三途の川を渡るのは可哀想が過ぎる。

俺が後悔していること

冒頭で会いに行かなかった事は後悔していると言ったが、もう少しだけ後悔している事がある。

高校生、大学生の頃は他に楽しいこともたくさんあって、犬の散歩を短めにしてしまうことが多かった。

帰りたくないと、帰り道と違う道にどんどん行く犬をひたすら説得して家に帰ってた。

社会人になってから帰省した時はなるべく散歩に行って、長く歩くようにしていたけど、足腰も元気で走りたい盛りの時にあんな短い散歩で終わっていたのが本当に申し訳なく思った。

ここ数年はつかれるのが嫌なのかあまり階段の上り下りをしたくなさそうだったから、昔の散歩コースを歩くことは少なかった。

すぐゼーハー言うし、昔みたいに引っ張ることもなく大人しく隣を歩いてた。

たまに、人間の徒歩にも遅れを取る時もあったと思う。

走れる内にもっと走らせてあげればよかったなと思った。

死んだあとは死んだ時の状態で天国に行くのか、運動能力ももどって駆け回れるのかどっちなんでしょうか。

犬の葬式

犬の葬式は翌日の朝から執り行われたらしい。俺は四半期に一度の大仕事の日だったから流石に帰れなかったんだけど、朝九時に起きて遺影に喋りかけていた。

乗られたら痛いくらいには大きな犬だったけど、葬式で棺桶の中にいる犬はめちゃめちゃ小さく見えた。

花が散りばめられた箱の中に、いっつも寝てる時と同じ姿勢、同じ顔で横たわっていた。

痩せてきてたのもあるんだろうけどそれにしても小さく見えた。

そして午前11時ごろに火葬されたらしい。

天国まではどれくらいかかるんだろうかと思った、途中で変なのに絡まれてなければいいんだけども。

もう2日くらい経つから到着してるとおもう。

あの犬は16年間楽しかっただろうか

もう一回でいいから犬に会いたい

16年間一緒に過ごしてくれてありがとうございました、また7,80年くらいしたら会いましょう。

安らかに眠ってくれ。2023年6月11日

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