ホラー小説「死国」の好きだったところ。

ホラー小説「死国」を読みました。

舞台は高知県の矢狗村。どうやら実在しないらしいがどの辺にあるかは作中の描写から分かる。幼い頃この村を離れた主人公、比奈子は、親が矢狗村に持っている家の借り主が居なくなったことから様子見も兼ねて村を訪れた。自分が都会の喧騒から離れたいという願望もあった。幼い頃のことを思い出すと、仲の良かった女の子がいた。それが莎代里。しかし比奈子は村についてすぐ、同級生に莎代里は死んだと知らされる。そこから、死者の声が聞こえ始める。

この小説、それなりに視点が移り変わる。おそらく4人だか5人くらいの視点で描かれるんじゃないだろうか・・・。最初はめちゃくちゃ面食らった。でもこの視点切り替え、全てに意味があり、最終的に全て繋がってくる。(小説だから当たり前よな)

読んだあとはしっかりスッキリできる。

 

最初にあらすじっぽく紹介。その実とくに確信にも触れてないけど、ホラー小説で昔の同級生が死んだというと、そこらへんから怖いことが起こるものだ。

 

この小説、何が面白いって巻末に参考文献リストがついてる。いやだからといって論文みたいな小説なわけではない。それくらい高知の風俗についてすごく調べられていて、言うたら悪いけど薄気味悪い小道具として使われている。それがすごい怖さを引き出してるし、物語の中核を担うギミックでもある。百科事典に載ってない、ネットでも謎に写真と一言くらいしか載せてないサイトしか出てこない文化、なんなんや・・・。知らないものが一番怖い。鬼束ちひろ曰くの優しいものがとても怖いのと同じくらいに、怖い。

 

また、この小説、男女関係がたくさん出てくるが、その下りで男女の情に関する表現やセリフが多々出てくるがこれがまたいい。だから最後にいいセリフとか表現挙げて締めようと思う。

 

役場でも何度か花火大会を復活させるように議案が出されたけど、 いつも予算がとれないってことでおしまいさ」

「確かにね。ひと晩でなくなってしまうお金だものね。考えてみると、つくづく人間って無駄なことが好きなんだと思う」

「花火は無駄かもしれない。だけど、きれいだったって気持ちは残る。決して悪いことばかりじゃないわ」

これはシンプルに侘び寂びを感じてよかったなぁってセリフ。

 

次は浮気グセがあった彼氏的な人に対する主人公の気持ち。

比奈子が選んだのは寛大な女を演じることだった。そうやって二人の間のバランスをとろうとするあまり、内部が空洞化していくことには気がつかなかった。

 

透と定期的に会って寝ることが、愛情の 証 と信じようとしていた。その内実の空虚さを見つめるのが怖かった。亀の 甲羅 の内にひきこもっていた子供の頃とどう違うというのだろう。 

 僕もわりと相手に合わせて合わせて・・・みたいな恋愛をしてしまうので、これは身に沁みた。自分が幸せになれる方向に動かないと二人の幸せなんか追い求められないんだよなぁという。

 

面白かったので読んでみてください。では。

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